いかだを考える
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最初に「筏」なるものに気が付いたのは、
山水画の中の筏だったようなきがします。
山で切り倒した材木を下流に流して
運搬している絵であった。
次に記憶があるのは、アメリカ映画の「帰らざる河」で
マリリンモンローとロバート・ミッチャムが激流を下るシーンである。
筏というより四角い箱舟であった。
トムソーヤの中にも川を渡る手段で登場する
いかだを使って違う場所に移動する、未知の世界へ展開する
身近な手段と感じた記憶がある。
その他に身の回りの違った形で存在する「筏」に
救命筏と養殖筏がある。
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私がはじめて作った筏はボーイスカウトの富士野営のときで、
山中湖畔で造り湖に浮かべた
浮力体に小さ目のドラム缶4個を使って作り上げたが 湖面に運ぶまでが、大変であった。
ドラム缶4個の重さは担ぎ上げられる物ではなかった。
ロープワークの実習として作った物だが浮かべたころには縛りが緩んで・・・
ドラム缶を浮力体としての利用のいかだ作りは、考えから外れていった。
次に考えたのが竹の筏だった。 竹の中は空洞で空気が密閉状態で入っている。
特に孟宗竹は大きいし空気の量も多いと勝手に考えて、孟宗竹のみの筏を作ってみた。
作りながら不安なことが湧いてきた。
孟宗竹は意外と重い。果たしてこの筏は水面に浮くかどうか・・・
そしてもうひとつ不安が。
竹は意外と良く滑るのである。
ロープで縛っているが緩んでこないかどうか
出来上がって予想よりかなり重い「竹筏」を浮かべた。
浮くには浮いたが人が乗るとほとんど沈んでしまう。
二人乗るとくるぶしまで水がきてしまう。
浮いていると言うより水面に立っているといった感じに見えてしまう。
孟宗竹も筏の材料から姿を消した。
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ボーイスカウトは縛り方の練習として工事現場の足場材をよく用いる。
抵当に細くて、よく乾燥していて他に比べると軽いし手軽に手に入る。
おまけにロープで縛りやすい。
骨組みはこの足場材が適している感じがする。
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昭和49年公民館の事業で対馬の過疎の村でキャンプを行った。
そのときのプログラムに「筏を作って無人島に行こう」とプログラムを担当した。
浅茅湾まで10キロの道を歩いて行って野宿をして筏を作って島に渡る。
携行できる資材は浮力体とロープぐらいしかない。骨組みは現地調達し、
浮力体は自動車のチューブを使うことにした。
いざ本番 流木はそんなに存在しない。
5〜6本の材料しか集まらない一般的な四角の筏は構成でない。
そこで考えたのが三角形のいかだ。これなら出来る
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このとき生まれたのがこの三角形いかだです。
その後タイヤもダンプのチューブが手に入り
かなりの浮力を得ることが出来るようになりました。
チューブを浮力体にすると幾つかの利点があります。
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1 ドラム缶に比べて軽く
持ち運びに重量に対する負担が少ないこと。
2 縛り付けるときに柔軟性があるので
ロープワークの初心者でも取り付けられる。
3 筏が水上で障害物に当たったときの衝撃が緩和される。
4 骨組みの寸法がアバウトでも制作が可能
などが上げられる
春日市で行っていた冒険クラブの時、
子どもたちである程度の図面が出来、制作が出来るようになってきた。
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この筏の形を見せると どこが前ですかと尋ねられる。
尋ねた理由を聞くと どうやってこの筏は漕ぐのかが知りたいらしい。
この筏を「アウトリガー筏」と説明する。
梯子を水面に浮かべてその下に浮力体を置くこのままでは左右に不安定なので
片側に浮力体兼バランスウエイトのタイヤを取り付けたと考えてください
左の写真で言うと上下に移動するのではなく左右に移動します。大半の方が納得する。
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北九州での冒険クラブで一般募集をして同型の筏を4機作って
熊本県の菊池川を下った。
子どもたちは手作りのパドルで 4キロ先の橋まで漕いで進む
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子どもたちにとって4キロの川旅は長い
疲れて漕ぎ手を休む子どもも出てきた
漕ぎながら皆で考えた。
何で漕ぐの?
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漕がなくても筏は流れていく
漕がないと目線や考えは川の土手や川面や空の雲に移る
するとそこには今まで気づかなかった世界が見えてくる。
土手に咲いている花 枝に止まっている野鳥 水面を跳ねる魚
風の臭い 土手で手を振る人
何故か今の私たちは急ごうとする。 より早く 人を押しのけても。
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私もそう習ったからそう人に教えてきた。
早くできたらどうなるの ・・・・習った答えをオウム返しに言っていた。
早くすることに集中して周囲を見ていない自分がそこにいた
物を豊かにすることに熱中して、何か大切なものを失ってきた気がする。
ゆっくりとした時間に身を任せ
周囲の出来事に心を寄せ、肌で感じ思いに耽るひと時をぜひ味わって欲しい
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この歌は昔 みんなでよく歌った歌の一つだ。
歌っているとき
私の心はいかだの上に飛んでいた気がする。
空の蒼さ、
白い雲、
土手の緑
枝にとまって水面を見ている鳥
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筏を作って川を下れと言いたい訳ではない。
今の生活の中に、心の筏を作って、
あなたの周囲を違った視線で見直す時間を持つことはとても大切だと思う。
自分のことで精一杯になると周囲が見えなくなる。
みんながそうなると世の中全体が窮屈になってしまう。
歌の歌詞にあるように 『いつもと少し違って見える』 心のゆとりを
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