他人のキャンプファイヤーから学ぶ



  子ども達が楽しみにしている、キャンプファイヤー

 その薪を組むのに決まりは無いはずなのに、

 色々と決まりをだれかが作っているみたい。

 私が体験した、他人のキャンプファイヤーの薪組みから

 学ぶことを基本としたい。



  長崎県の雲仙温泉の観光案内所に一枚の写真が掲示

  してありました。

  「白雲池の国際キャンプ大会 昭和初期」

  80年前のキャンプファイヤーの写真です。

  薪組は、井桁に組まずにティピー型

  ファイヤーで展開されているみたいです。 



  昭和36年のボーイスカウトのアジアジャンボリーの

  薪組みです。

  枕木で組んであります。

  3万人のキャンプファイヤーです。

  この薪組みが4基つくってありました。




  これもスカウトのジャンボリーの薪組みです。

  3万人近い人ですから・・・

  あまり参考にはならないみたいです。







  私がボーイスカウトの実修所を受けた時の薪組みです。

  ボーイスカウトだから「こう組む」ではなく、

  担当の所員の組み方で行なわれました。

  上から点火するやり方です。


  


  スカウトの機関紙の表紙にも

  上からの点火写真が載っています。





  



  1988年、キャンプ協会の全国大会が北海道の函館で

  あった時、

  日本キャンプ協会の中村典夫先生と北条明美先生の

  協同薪組みです。

 


 
  テキストなどで見るきれいな基本的な組方です。


  ひょっとすると、これが日本中に広がったのかもしれません。








  模範的な薪組みを上から見ています。




  いよいよ点火です。 判りますか?

  この薪組みには灯油が用いられています。

  ですから炎が高く上がり、薪組みの一番下からも

  炎が上がっています。






  薪が燃えているのではなく、灯油が燃えています。


  灯油がある限りこの炎の高さは続きます。








  このシルエット、国際武道大学の教授だった

 北条先生です。

  灯油がなくなると薪の炎になり、炎の高さは当然

 低く成ります。

  この不自然さを好まないキャンプリーダの話はよくききます。 

  でも火の景気はいいです。
 




  1987年山形県の蔵王でキャンプ大会がありました。

  キャンプファイヤーの予定の晩、雨になったため

  ファイヤーは中止。 

 しかし薪組みをしていたため翌日点火の運びとなりました。




  私も点火係りの一員となりました。

  大きさを見てください。

  かなり大きい。

  薪も杉などの針葉樹系プラスクヌギ系の広葉樹です。






  薪組みの下から点火です。

  前の晩から作ってありますが、灯油は使っていない

  みたいです。 

  点火用の紙類が見えます。
 



  点火係りの二人のトーチが火元となっています。

  灯油がない分かなり時間が掛かりそうです。





  やっと薪に火がついたみたいです。

  上部を見てくださいかなりの煙が上がっています。

  下からの点火のとき 灯油などがなければ上部の薪の

  くすぶりの煙がかなり上がることが判ります。




  高く薪を積み上げるとある時に横に滑って崩れ落ちる

  ことがあります。 

  この写真は模型ですが、外側に崩れることを防ぐ為に

  各角に縦位置に1本薪を置いてあります。




  各地でオリジナルの薪組がありますが、

  これは山口県スタイル。 

  展示してあるのは山口の徳地少年自然の家。 

  何処が違うのでしょう・・・・?

  そうです。よく見ると各段すべて薪が並んでいます。





  一番下は2本 まぁこれは・・・普通

  2段目は6本。 3段目は8本。3段目は7本。

   えっ

  4段目は8本・・・・

  と言うことは真っ直ぐな木をきれいに並べて・・・

  何処から点火するの???




  答えはこうです。 

  見えている木口は向こうまでつながっているのではなく、

  20センチぐらいに切った物がさし込んで

  並べてあるのです。




  上から見るとこうなっています。 

  切るのが大変・・・

  そうでもないかも知れません。

  そして後は中から点火です。

 名付けて山口スタイル。






  これも山口スタイルの薪組みです。

  コンパクトに良く作ってあります。

  燃やしている時を良く覚えていないのですが・・

  途中でポコポコ中に落ちていく・・

  それが又いいのかも知れません。





  福岡県の夜須少年自然の家で見た組み方です。


  組み方としては・・・

  日本キャンプ協会の組み方に似ています。





  よく見るとトーチが10本 

  10人の子ども達が何かを言って、下部から点火

  するのでしょうね。 

  点火口が上部にありません。 

 ということは煙が出ますねぇ。



  大分県九重の水仙グリーンパークで。

  新聞紙がつめてあるところを見ると下部からの点火

  でしょうね・・・。

  この新聞紙では木に燃え移らないので・・・

  多分灯油も併用だと思います。





  長崎県の離島、宇久島で見た薪組みです。

  離島なので、薪の素材が建築廃材になっています。

  そして途中で崩れ落ちないように・・・

  鎹(カスガイ)で固定してあります。

 ファイヤーが終わりかけにファイヤーサークルの中で

  鉄の針先をいくつ見るのでしょう。

 静かに熾きを見ているとその中に・・・・

  組んだ方の経験のもち方の問題でしょうね。





  これもまた大分県九重の学生さんを沢山泊める

  ホテルの駐車場に造ってあるファイヤー

  プレイスです。




  こじんまりと良くきれいに積んであります。

  何処から点火するのでしょうね。







  ひょっとするとここでキャンプファイヤーが

  できるというアピールの看板的存在かも知れません。




  熊本県 南阿蘇で見た薪組みです。

  キャンプ場のスタッフが組んだということでした。

  キャンプファイヤーと言うより夏のドンド焼き

  といった気もしなくはありません。






  この薪組み・・・・

 記憶が正しければ「広島県北スタイル」

  広島県北独特の組み方でキャンプファイヤーの流れを

  「一部」「二部」と分け、

  一部「男火」と名付け火を高く上げることに重きを置き、

  点火直後やセレモニーの時に燃やすやり方。

 二部「女火」と称しセレモニーが終わり親睦の火の場面と

  なったとき、燃えている薪組みを崩し熾き火状態にして、

  座っていても正面の人の顔が見える状況を作り出す方式。




  場所的にも広島郊外の宿泊施設での撮影である。

  初めてこの光景を見ると、せっかく燃えあがった火を

  崩すことには抵抗感を感じた。

  事前に説明などがあれは納得できるユニークな

  キャンプファイヤーの展開である。






  このファイヤーは、現在の福岡ヤフードームができる前、

  福岡地区のボーイスカウトの大会がこの地であった時の

  ものです。 

  福岡市内であったため多くの見学者を予想して

  ファイヤーが2基造られた。





  しかし組み方がチョット変わっている。

  燃焼時間の関係で隙間が出来ないように最初組まれていた。




  2基の薪組みの間にステージが設置されていて

 見学者が見やすいようにしてある。

  ここまで燃えると通常の薪組みに戻っている。
 




  これは熊本県の砥用キャンプ場のシーン。
 
  上載の福岡地区ボーイスカウトの薪組もこんな感じ

  であったのではないだろうか。






  点火の方法はさておいて、

  井桁の中に薪を投げ込んでいくスタイル

  ではないでしょうか。

  この燃やし方のイメージは何処から生まれたかと

  考えている時に一枚のポスターが目にとまった。






  護摩祈祷のお焚き上げのポスターである。




  井桁に木を組んでその中に護摩木を焚き上げる光景は

  どこかキャンプファイヤーを連想してしまう。

  火力が弱くなった時ファイヤーキーパーが薪を足す

  真似たキャンプリーダーの方に非がある。




  学生を泊めるリゾートホテルの駐車場にも

  こんな変なものを造る業者が出てくる。
 
  業者が悪いのか、引率の先生の資質の問題か・・・。






  これは松山市青年の家での光景、

  前日広島からきた若者がグランドで

  キャンプファイヤーしたいと言って・・

  形だけを真似ようとした形跡がありありと見える。




  宮城県の花山少年自然の家の営火場。

  ファイヤーサークルの中央に何かが置いてある。






  ここまで来るとキャンプファイヤーでなくて

  薪能ならぬ[薪の集い][かがり火の集い]

  と呼称を変えたほうがすっきりとするし、

  展開も楽になるのではないだろうか。







  左側の造形物も同じである。

  キャンプファイヤーをなぜするのかよりも、

  夜のプログラムが必要な先生が増えた。




  キャンプファイヤーの薪組みではないのだが

  ファイヤーの場所が日常サイトの中央にあるのも困る

  薪組みの途中「このゴミも一緒に燃やして」と

  持ってくる人もいるし、ギャラリーが輪を作って見られて・・

  日常の場所でのファイヤーには抵抗がある。






  一時、流行したトーチサービス 昭和48年の夏。

  中央でトーチを持って指導しているのは、

  F大学名誉教授のO先生 若き日の雄姿です。

  初めて体験した時には感動したが、トーチの準備や

  取り扱いの仕方、後始末などを考えると、

  本来のキャンプの中での出来事とは離れて行く気がする。





  私のキャンプファイヤーの組み方のルーツは

  何処にあるかと言うと、ちゃんとある。

 1973年サマーキャンプのスタッフとして渡米した

  シカゴ地区のボーイスカウトのキャンプ場

 (規模が大きいのでリザベーションと呼ぶ)で習った

  歴史のある組み方である。 

  このキャンプ場1909年に出来たボーイスカウトでも

  古い歴史のあるキャンプ場




  このキャンプファイヤーは2週間1回しか行なわない。

 (サマーキャンプは2週間を1クールとしている)

  新しくキャンプ場に来たキャンパーに、

  キャンプ場の歴史・約束などを伝える時に用いる。

  俗にいうセレモニアルファイヤーです。

  後は各キャンプサイトで行います。

 詳しくは「私の組み方」で。


色々な場所での薪組みを撮ってきましたが、

キャンプファイヤーで何を伝えたいかを持っていないと、

ただの夜のプログラムだけに終わってしまう気がします。

終わり

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